ジョギングの途中で出会う森の住人:ニンフェンブルク城庭園のノロジカたち


ニンフェンブルク城の庭園は、ミュンヘンが誇るバロックの宮殿と緑豊かな自然が共存する特別な空間です。観光名所としても有名ですが、私にとってはそれ以上の存在。普段からよくジョギングをする場所でもあり、季節の移ろいや鳥たちの声、森の匂いに囲まれて走るひとときは、まるで日常のなかの小さな贅沢のように感じられます。
そんな庭園で、ふとした瞬間に姿を見せるのがノロジカ(Capreolus capreolus)です。林の陰からそっと現れ、じっとこちらを見つめるその瞳。音もなく移動する姿はとても静かで、気づけばすぐに茂みの向こうへ消えてしまいます。ときには、走っている途中に偶然出会うこともあります。

とくに春には、母ジカのそばでおぼつかない足取りで歩くバンビ(仔ジカ)を見ることもあります。その愛らしさは、思わず足を止めてしまうほど。自然と人との距離が保たれたこの庭園だからこそ、こうした野生動物の姿に安心してふれられるのだと思います。
ノロジカはこの庭園では決して珍しい存在ではなく、特に朝の時間帯や人の少ない奥まったエリアでは、よく目撃されています。庭園の一部には自然林が残されており、かつて狩猟用の森として使われていた歴史もあることから、今でも彼らにとって安心して過ごせる環境が保たれているのです。
管理された文化的景観と野生の生態系が調和するこの場所は、「都市のなかの自然」の象徴のような存在です。人の手によって手入れされつつも、生き物たちがひっそりと暮らせるこの空間に身を置くと、自然と呼吸が深くなり、日々の緊張がほぐれていくのを感じます。
次にニンフェンブルク城の庭園を訪れるときは、ぜひ建築の美しさだけでなく、森の奥にひそむ静かな住人たちにも思いを寄せてみてください。きっと、あなただけの「出会い」が待っていることでしょう。
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- 合同会社喜代七 / 喜代七屋 Kiyoshichi LLC / Kiyoshichiya freelance
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Agriculture, Forestry, Fisheries Management Consultant & Fieldwork Coodinator.
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