Earth Day 2024 Report

Earth Day 2024は、イプソスが世界33カ国・約24,290人の成人を対象に実施した気候変動に関する意識調査である。調査期間は2024年1月26日~2月9日、オンラインパネルを用いたグローバル調査であり、政府・企業・個人の役割や気候アクションに関する態度、行動意欲・誤認識(believe-true gap)などを把握する。ipsos.com
本レポートは毎年公開され、国際世論の変化を追う重要データとして位置づけられている。長期的な関心・責任認識の変化や、気候疲労・行動ギャップの傾向が分かる。ipsos.com
2. 気候変動への関心と行動意欲の現状
2-1. 気候変動対応への危機感と役割認識
多くの人々が気候変動を問題と認識しているものの、行動意欲や責任の自覚はやや低下傾向にあることが示された:
- 個人が行動しなければ未来の世代を裏切るとの認識は減少傾向であり、以前より悲観・無力感が広がっている。ipsos.com
- 特にミレニアル世代・Z世代の男性は「もう手遅れ」と感じる比率が高く(約30%以上)、他の層よりも福祉への関与意欲が低い。ipsos.com
これらは「気候疲労(climate fatigue)」や無力感の台頭を示し、従前より行動誘因が弱まっている可能性を示す。ipsos.com
2-2. 役割分担の認識
調査全体では以下のように、政府・企業・個人が責任を負うべきという認識がある一方、誰が主導すべきかで強い意見差が存在する:
これは、パブリックセクターとプライベートセクターに対する期待が強まっている一方で、個人行動の役割が過小評価されていることを示す。
3. 行動と認識のギャップ(believe–true gap)
3-1. 認知と実際の行動効果のズレ
レポートは、人々が効果的な気候アクションを誤認している点を強調する:
- 多くの人が「リサイクル」や「日々のゴミ削減」などを最も効果的な行動と認識しているが、実際の削減効果としては低い。ipsos.com
- 対照的に、「車を持たない」「再生可能エネルギーの利用」などは温室効果ガス削減効果が高いにも関わらず、認識順位が低い。ipsos.com
このギャップ(believe-true gap)は、良かれと思って行う行動と、科学的に見た効果との間に大きな隔たりがあることを示しており、情報提供の重要性が示唆される。
3-2. 情報・教育の必要性
このギャップは特に、行動変容が効果的であるとの知識不足から生じるため、政策や教育キャンペーンが科学的根拠に基づく効果的アクションを伝える必要性が指摘される。
4. 国際比較:日本の位置づけ
4-1. 日本人の認識と行動
日本の調査では、次の特徴が確認されている:
(1) 最も効果的と思われている行動
- 日本人が最も効果的だと考えた行動は「リサイクル」であったが、科学的評価ではこの行動は実は60位程度の効果しかないとされる。ipsos.com
(2) 認識と実際の行動効果のギャップ
- 日本人の気候変動に関する知識は高いものの、効果的な対策・行動についての認知が低いという傾向が示された。つまり「理解はあるが、何をすべきかが分かっていない」状況が浮かび上がっている。ipsos.com
(3) 政府への期待と個人の当事者意識
- 他国と比べると、日本では政府・企業に対する期待が相対的に低いとも報告されている(他国平均に比べても政府・企業への信頼・期待が低い傾向)。プレスリリース・ニュースリリース配信シェアNo.1|PR TIMES
- 一方で、81%が気候変動の影響を心配しているという別調査もあり、気候問題への関心自体は高いものの、具体的施策への支持や政府期待にはギャップがある状況が示される。alterna.co.jp
5. 地域間・世代間の差異
5-1. 世代差
調査では、ミレニアル世代・Z世代間の気候観に特徴的な傾向が見られる:
- 若い世代は「行動の効果は低い」と感じやすい傾向があり、特に若年男性で気候無力感が顕著であると指摘されている。ipsos.com
- これは、従来の「若年層は気候問題に強い関心を持つ」という一般的認識に対し、世代ごとの感情的な反応の違いを示す。
5-2. 地域差
全体として、気候変動対応への期待は高いが、実際の行動や政策支持には大きな地域差がある:
- 発展途上国・新興国では、気候対応の責任を先進国に求める傾向が強い。ipsos.com
- 先進国では「政府・企業の役割に期待する声」と同時に、「個人の負担(税・生活変化)への抵抗感」も比較的高い傾向が見られる。
6. 行動インセンティブと阻害要因
レポート全体として、気候アクションを促す要因と阻害要因の整理は以下の通りである:
6-1. 促進要因
- 情報提供の明確化:効果的な行動や政策を科学的根拠とともに広く伝えること。ipsos.com
- 経済的インセンティブ:再生可能エネルギー導入支援、低炭素生活への経済的誘因(補助金・減税など)の強化。ipsos.com
6-2. 阻害要因
- 悲観・無力感の広がり:個人の努力が意味を持つとの信念が弱まっている。ipsos.com
- 政策負担感:税金負担や生活変化に対する抵抗が、政策支持の障壁となる。resources.ipsos.com
7. 政策・社会的示唆
7-1. 科学的根拠に基づくコミュニケーション
レポートが示す最大の課題は、人々が効果的な気候アクションを理解していない点である。これは、政策立案や社会啓発において、単なる行動推奨ではなく、温室効果ガス削減へのインパクトを示した情報提供が必要であることを示唆する。
7-2. 行動誘発ストラテジー
- 若年層を含む世代別アプローチ:無力感の克服とポジティブな関与機会の提示。
- 政府・企業のリーダーシップ:国民の期待が高い領域での政策実装と透明な進捗公表。
- 日本社会特有のギャップ対応:気候危機への関心は高い一方で、具体的効果の理解が低いという認識不足を埋める教育・メディア戦略。
まとめ
Earth Day 2024レポートは、気候変動に関する意識が広く共有されている一方で、行動意欲の低下や効果認識のズレが広がっていることを示している。国際的には政府・企業への期待が高く、日本でも気候変動対策への関心は高いものの、最も効果的な行動を理解している層は少ない。これは、環境コミュニケーションと政策設計において、科学的知見を踏まえた効果的な行動への誘導が不可欠であるという示唆を与えている。
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- 合同会社喜代七 / 喜代七屋 Kiyoshichi LLC / Kiyoshichiya freelance
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